生態工房とは活動について参加する支援する

 光が丘公園の一画に残っている草はらで、武蔵野台地の草地景観と、さまざまな生物を保全するための作業を行っています。そもそもこの草はらは、公園が開設された初期に、野生生物の保全区域として設置されたものです。しかし当工房が発足した1998年当時には管理作業が行われていなかったため、当工房が自主事業として活動を始めました。
すすき原っぱ  2005年には、これまでの維持管理作業に加えて、草はらを拡げる事業に着手しました。今はまだ小さな草はらですが、いつか広い草はらの風景の中で生きものを探したり遊んだりできることを思い描いて活動しています。


草はらの日

どんなところ?
ーーーー守らなければ、消えてしまう原っぱ


 すすき原っぱは光が丘公園の一画にある小さな草はら。オギやススキが優占している、練馬区でもっとも広い草地です。100種を超える在来植物や、ホオジロなどの鳥類、コオロギ、ツユムシなどの鳴く虫が生息しています。公園が整備される前にあった植生(芝生を植える前の状態)を現在に伝えている大切な場所です。

すすき原っぱ概要
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普及活動

草はらを残す【管理作業】
◆ススキなどの刈り取り
 ススキを刈らないでおくと、茎が密生して株の内側から枯れ始めます。ほどほどに刈り取りを行うことによって株を若返らせています。都会にある公園なので、美観や安全の観点からも株の間を刈って見通しをよくしています。

◆外来草本の抜き取り
 外来草本とは、元々この地域に分布していなかった草のこと。例えば北米大陸原産のセイタカアワダチソウは、群生して他の植物の住み場所を奪ってしまうほど繁殖力が強い草です。
 すすき原っぱは武蔵野本来の植生を保全している区域ですから、この場所にふさわしくない外来種を抜き取っています。
外来草本の抜き取り
◆実生木の刈り取り
 草はらには、鳥や風に運ばれて樹木の種子がやってきます。芽生えた木が育って林になってしまわないよう、幼木のうちに刈り取っています。

◆落ち葉掻き
 落ち葉などで地面が覆われると、光が当たらなくなるので草の種子が発芽しません。その結果、種子から芽生える一年草が減り、根茎から芽を出す多年草が増えて、植物の種類構成が単純になっていきます。さまざまな植物を保全するために、落ち葉や刈った草を運び出しています。

◆柵の修繕、ごみ拾い
看板修理  柵が壊れていると人が入って踏み跡ができてしまうので、すぐに直しています。生きものの保全と同様に、公共の公園として美しく保つことはとても大切です。

草はらを保全するのに草を刈るの?

 草はらを保全するということは、植生を草はらの状態に維持するということです。草はらを放っておくと、だんだん背の高い草が増え、そのうちに木も生えてきます。そうしてまばらな林になり、やがては森に変わっていきます。その場所をあるがままの自然に任せておくのもひとつの保全のあり方です。しかし草はらという環境と、そこに特有の生物を保全する場合には、草はらが森に変わってしまわないように維持する必要があります。
 草はらの状態を維持する方法には、刈り取り、火入れ、放牧などの伝統的な方法があります。光が丘公園のすすき原っぱでは、定期的な刈り取りによって草はらを維持しています。


草はらの変化を見つめる【調査】
◆植生調査(モニタリング)
 植生の変化や、外来植物の除去効果を把握するために、定期的に調査を行っています。

◆自然誌
 植物の開花・結実、昆虫の出現等の記録を蓄積し、解説板やホームページを通じて情報を提供しています。

◆直翅類調査(モニタリング)
 植生管理の効果や、草はらづくりの成果を測る指標として、バッタ・キリギリスの仲間の個体数を定期的に調べています。

草はらに親しむ【環境学習】
◆自然観察・保全作業等の行事
 原っぱの生きものの観察会や、草花を用いた自然あそびなどのプログラムを開催しています。保全作業も市民参加で行い、みんなで原っぱを育てています。